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演出家の蜷川幸雄さんがお亡くなりになりました。

20年くらい前のテレビのドキュメンタリー番組で
俳優たちを叱る場面が印象的で
怒って灰皿を投げることが名物。
こわい演出家というイメージがそのころからありました。
今ならモラハラと言われてもおかしくないくらい。

「あんな怒る人嫌だな~」

と思っていたのですが、
今回、亡くなられて、通夜、葬儀に集まった俳優陣のすごいこと。
そして、その方々が口をそろえて

「蜷川さんのおかげで」

実際に接した人たちにしかわからない感覚なのでしょう。
それが受取った人たちの反応。
俳優さんたちの言葉から本当に愛された人だったということが伝わってきます。

女優の高木美保さんがこんなエピソードを紹介。

高木さんの前で名物、灰皿投げを披露した蜷川さん、
運悪くアルミの灰皿が、高木さんに本当に当たってしまった。
新人だった高木さんは悔しかったけど、何にも言わなかったら、
後から蜷川さんがきて

「ごめん。本当に当てちゃって」と

謝られたそうです。

それに対し高木さんは

「厳しさと、その裏の甘いぐらいの優しさを、
凄く使い分けて人を育てる方だったんだなって思った」

と語っていました。

娘の蜷川実花さんは
「家ではモノをなげるなど一度もなかった」
と語っています。

ちゃんと場面や相手を考えてしていたのでしょうか?
たまたま、演劇の世界でそのやり方がはまったのでしょうか?

ただ、いろんな覚悟を持って演出という仕事をし、
俳優を育てていたのだろうなあと想像しました。

晩年には
「しかり過ぎるとお互いの関係を修復するのに一カ月では難しい。
だからしからずに、気長に歩き出すのを待つことにした。
その方が仕事が早い。」とも語っていたようです。

そういえば、会社員時代に
よく叱るけど、部下たちから信頼されている上長がいました。

で、それの真似?をして同じような言動をとって嫌われている上長もいました。

その違いは表には見えないところにあったのだったのだろうなと
今、振りかえって思います。

そして、今、私が同じ「やり方」でやったとしても、
きっとうまくいかないんだろうなあ、
ということもわかります。

コミュニケーションの意味は受取る反応にあります。

明日もよい一日を☆

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